こんにちは、ミソです。
昨今は外来生物に対して世間の関心が高まってきているように思えます。某テレビ番組などでよく取り上げられるミシシッピアカミミガメやブラックバス、ブルーギル等が著名ですね。
水生生物が取り上げられがちですが爬虫類も例外ではなく、沖縄ではグリーンイグアナが繁殖して問題になっています。原因としては心無い飼い主が逃してしまったり、不注意で脱走したものが繁殖してしまったことが大きいでしょう。
当ブログはヒョウモントカゲモドキに特化したブログですので、ここで『ヒョウモントカゲモドキが脱走したらどうなってしまうのか?』というテーマについて記事を書いてみようかと思います。
実は特定外来生物等分類群専門家グループの会合でも取り上げられた議題だったりします。そちらの議事概要にも触れながら書いていきますので興味があればお付き合いください。
※いつもはヒョウモントカゲモドキのことを親しみをこめてレオパと表記していますが、この記事はヒョウモントカゲモドキ表記で基本的に統一しております。多少読みにくいかもしれませんがご了承ください。
ヒョウモントカゲモドキは日本に定着するのか?
現時点で可能性は低いと思われる
まず、現時点でヒョウモントカゲモドキが日本に野生化して定着しているという情報はありません。
よく日本の気候はヒョウモントカゲモドキの生息しているパキスタンあたりに似ていると言われていますが、それでもヒョウモントカゲモドキが日本の過酷な冬を乗り切るのは難しいでしょう。土地にもよりますが、気温が氷点下を下回ることもさほど珍しくありませんし降雪もありますから厳しいと言わざるを得ません。
たまたま冬眠状態で生き延びることができたとしてもあれだけ目立つ色をしたヒョウモントカゲモドキに対して野良猫や野鳥に狙われたらひとたまりもないでしょう。
これらの理由からヒョウモントカゲモドキが日本に定着する理由はかなり低いと言っていいでしょう。
温暖な地域ではあるいは…?
日本の中でもかなり温暖な気候で知られる沖縄では在来種のトカゲモドキが数種生息しています。そのような場所に仮にヒョウモントカゲモドキが大量に持ち込まれたら繁殖して定着する可能性はゼロとは言えないでしょう。
ただし沖縄自体にも肉食種のオキナワキノボリトカゲや野良猫など生存競争の相手がそれなりにいるのでヒョウモントカゲモドキがそこで生き抜くのも厳しいのではないでしょうか。
ヒョウモントカゲモドキが野外に放たれることで懸念される問題とは
クリプトスポリジウムの懸念
定着の可能性は薄いということをお伝えしましたが、他に懸念するようなことはあるのでしょうか。
インターネットで調べていたら第3回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(爬虫類・両生類)議事概要というページを見つけましたので、引用を交えながらご紹介します。かの著名な故千石正一先生も出席しておられます。
ヒョウモントカゲモドキが野外に定着しなくても、室内で飼育することで、クリプトスポリジウムが野外に放出され、日本の生態系に影響を与える可能性がある。
クリプトスポリジウムについては以前ヒョウモントカゲモドキのトラブルや病気という記事を書いておりますので下のリンクからよろしければどうぞ。
ざっくりですが、クリプトスポリジウムは腸管寄生原虫による感染症であり、人が感染した場合は下痢などの症状で数週間で自然に治ります。しかしながらヒョウモントカゲモドキの場合は症状が重くなりやすく徐々に衰弱していき、最終的に死に至る可能性も高いことで知られています。
要はクリプトスポリジウムに感染したヒョウモントカゲモドキの糞便が水(雨水など様々なもの)に溶け込み、その水を飲んでしまった生き物にクリプトスポリジウムが広がっていく懸念があるということです。
今でこそヒョウモントカゲモドキを始めとした爬虫類は対面販売とすることが法律で決められていましたが、十数年前はお手軽に通販で購入することができたので流通が多くなるほどクリプトスポリジウムが拡散されてしまうのではないかという懸念があったわけです。
飼育には常に責任をもって
爬虫類は飼育コストが低いため気軽に飼育をすることできる生き物です。特に近年は爬虫類自体がブームになっているので、飼育者も右肩上がりに増えている現状です。ですが、そんな爬虫類も病気になったりすれば当然ながら高額の医療費が掛かります。(基本的に保険適応外なので)
上記でも触れたクリプトスポリジウムなどは継続的な治療が必要だったりするので、最終的に面倒を見きれなくなった心無い飼い主が野外にヒョウモントカゲモドキを捨ててしまうといったケースも出てくるかもしれません。
あくまで最悪のケース…可能性の話でしかありませんが、心無い飼い主が捨てたヒョウモントカゲモドキによりクリプトスポリジウムの蔓延を招いたりしたら爬虫類飼育に規制が入ることもありうるわけです。少なくとも爬虫類飼育者の肩身が狭くなることでしょう。
さいごに
色々と述べましたが、帰化定着やらクリプトスポリジウムやらは飼い主の責任感とモラルによって十分防ぐことができる問題です。要は逃さないで最後まで面倒を見ることができればいいわけです。
大型のヘビやトカゲに比べるとヒョウモントカゲモドキは小型なので脱走してもなかなかニュースになったりすることはないかもしれませんが、もし報道されたりしたら世間からの厳しい視線にさらされることになりますので、我々ヒョウモントカゲモドキ飼育者のモラルを高めることで日本の生態系を守っていきましょう。
以上、ヒョウモントカゲモドキが生態系に与える影響についての記事でした。
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